2歳3歳イヤイヤ期:『やめて』が伝わらないのは「わざと」でも「あなたを困らせよう」でもない—発達に基づいた対応と心構え

こんにちは。
浦和親子教室 未来あそびラボのかくこうみずほです。

「やめて」と言ってもやめない2・3歳—発達に基づいた対応と心構え

・「やめて」と言ってもやめてくれない。
・何度伝えても同じことを繰り返す。

こうした2歳ころの姿に、
「わざと困らせようとしているのでは?」と感じてしまうことはありませんか?^^

でも実は、2歳の子どもは
「わざと」ではなく、「学びのプロセス」 の中にいるのです。

今回は、発達に基づいた視点から「やめて」と言ってもやめない理由と、周りの大人はどのような心構えがあると良いのかについてお伝えしたいと思います。

↑この時期の子どもについて、Instagramでも発信しています。
是非ご覧ください^^


2歳児の脳の発達と「やめられない」理由

2・3歳の脳は、「前頭前野」がまだまだ未熟な状態にあります。

前頭前野とは?
前頭前野は
「考える力」
「感情をコントロールする力」
「やめる力(抑制力)」を司る部分にあたります。

しかし、2歳頃の段階ではまだまだ前頭前野は発達途中のため、
「やめよう」と思っても、つい体が動いてしまう ということもよくあります。

たとえば…
👶「触らないでね」と言われたのに、つい手が伸びる
👶「走らないよ」と言われたのに、気づいたら走っている

これらは「親の言葉を聞いていない」のではなく、
まだ脳の仕組み的に「抑える力」が未発達だからこそ起こる行動なわけですね^^

感情のコントロールも未発達
2歳頃の子どもは、まだ「自分の気持ちを言葉で表現する」のが非常に難しい時期です。

やりたいことを止められたとき、「なぜダメなのか」を言葉で理解して、気持ちの整理をすることは、この時期の子ども達にとってはとても難しい課題です。

そのため、泣いたり怒ったりすることで感情を伝えようとする様子が見られます。

「やめて」が伝わらないのは、決して「わざと」や「親を困らせよう」としているのではなく、発達のプロセス だと分かると少〜しだけ心が軽くなりませんか?^^


どうしたら「やめて」が伝わるの?—発達を踏まえた対応

💡 ①「やめて」ではなく「こうしよう」に言い換える
否定されると、子どもは「やっちゃダメなんだ」とは分かっても、どうすればいいのかが分かりません。

✖️「走らないで!」
⭕「ゆっくり歩こうね」

✖️「おもちゃを投げない!」
⭕「ボールを投げよう」

代わりにやっていいことを伝えると、子どもも受け入れやすくなります。

💡 ② 環境を整えて「やめて」を減らす
発達の視点から見ても、2歳児は「言葉だけで理解する」のが難しい時期。
そのため、「触ってほしくないものは手の届かない場所に置く」「危険なものは見えない場所に収納する」など、環境を工夫することで、そもそも「やめて」を減らすことができます。

💡 ③ 繰り返し伝える(何度も言われて少しずつ身につく)
2歳児は「一度言ったら分かる」という年齢ではありません。

毎回同じ行動をしているように見えても、実は「何度も繰り返すことで、少〜しずつ理解している」段階です。

何度も言うのは大変ですが、「今すぐには分からなくても、少〜しずつ身についていく」ものだと知っていると、気持ちが楽になるかもしれません。

💡 ④「困るなあ」より「一緒にやろう」に切り替える
「ダメ!」と否定するよりも、「一緒にこうすると楽しいよ!」と前向きに誘うと、スムーズに行動を変えられることが多いです。

例えば、
🟢「ドアをバンバン叩かないで!」 →「手を叩いて【一緒に】リズム遊びしよう!」
🟢「水をこぼさないで!」 →「お風呂場で一緒に遊ぼう。」

子どもは「やりたい!」という気持ちや、大好きなあなたと【一緒にやりたい】気持ちが強いので、その気持ちを活かしながら導いていくのもポイントです。

子どもの個性やタイミングによっては、「1人でやりたい子(見守っていて欲しい)」と「お母さん・お父さんと【一緒に】やりたい子」に分かれるかと思います。

その時々で、お子さんが「いまはどんなことをやりたいと思っているんだろう」と観察してみることも大切です。

子どもの気持ちが分からなくても「分かろうとしようとする姿勢」は、子どもの成長をサポートするだけでなく、親子の関係をより良くし、子育てのストレスを減らす ことにもつながります^^


まとめ:2歳・3歳イヤイヤ期は「わざと」ではなく「学びの途中」

「やめて」と言ってもやめないのは、2歳児の脳や発達の特徴が関係しています。

✅ 言葉で伝えられても、感情を抑える力が未発達(前頭前野の発達途中)
✅ 自分の気持ちを言葉で整理するのが難しい
✅ 繰り返しの経験を通して、少しずつ学んでいく

だからこそ、次のような対応が効果的です。

🔹 「やめて!」ではなく「こうしよう」に言い換える
🔹 環境を整えて、言葉だけに頼らない工夫をする
🔹 何度も繰り返し伝えて、少しずつ理解を深める
🔹 「ダメ!」より「こっちが楽しいよ!」と誘う

この時期の子どもの成長は、「分かっているけど、まだできない」から「分かって出来るようになる」 へと、進んだり立ち戻ったりしながら、少しずつ少しずつ成長していっている時期になります。

いつ感情をコントロール出来るようになるの?

実は、前頭前野の発達、特に「抑制」に関しては、25歳ころまでかけて、徐々に成熟していくと言われています。

感情のコントロールが出来るようになるまでには、非常に時間がかかるものなのです。

子どもに怒鳴ってはいけないと分かっていても、怒ってしまった……と心当たりのある方もいるかもしれません。
(私も余裕がないときには、つい語気が荒くなってしまうことがあり、まだまだ未熟だと痛感します。)

感情のコントロールというのは、非常に高度な脳の働きが必要となるわけです。

そのため、2・3歳の子には難しいということが理解しやすくなるのではと思います。

🔹 前頭前野の発達の流れ

  1. 幼児期(0~6歳)
    • 前頭前野は未熟で、感情や衝動をコントロールするのが難しい。
    • 所謂イヤイヤ期(2~3歳)は、この抑制機能が未発達、且つ、抑制機能よりも自己主張が優先して発達するため起こる。
  2. 学童期(6~12歳)
    • 抑制機能が少しずつ発達し、状況に応じて行動をコントロールできるようになる。
    • ただし、まだ「自分がやりたいこと」と「やるべきこと」の調整は不安定。
  3. 思春期(12~18歳)
    • 前頭前野が発達途中のため、衝動的な行動が目立つことがある。
      反抗期と言われるものは、大体この時期に当たります。
    • 感情のコントロールは向上するが、大人ほどの安定感はない。
  4. 成人期(18~25歳)
    • 前頭前野が成熟し、自己抑制や論理的思考がより安定する。
    • 社会的なルールを理解し、自分の感情や行動を適切にコントロールできるようになる。

つまり、子どものうちは「なぜ言っても聞かないのか?」ではなく、「まだ脳が成長途中だから、コントロールしきれないんだな」と捉えることが大事になるのですね^^

特に3歳頃は、まだまだ感情や衝動のままに動くのが普通!

「抑制する力は、これからじっくり育っていくもの」と理解して、温かく見守ることがポイントです。

追記:子どもの成長は二歩進んで一歩戻る

子どもの成長は、まっすぐ一直線に進むものではなく、時に後戻りするように見えることがあります。

例えば、
子どもが新しいことをできるようになったのに急にできなくなったり、
前よりも甘えが強くなったりすることはありませんか?

これは 「退行・揺り戻し(リグレッション)」 とも呼ばれ、発達の過程では自然な現象です。

脳の発達の過程で、一時的にバランスを崩す
→ 例えば、ある時期までは落ち着いていたのに、急にイヤイヤが激しくなることがあります。
これは、新しいことを学ぶとき、子どもは一時的に不安を感じることがあります。
そのため、心のバランスを取ろうとして、大人に甘えたり以前の行動に戻ることがあるのです。

揺り戻しが起きたときの対処法

「なんでできなくなったの?」と叱らない
→ 子ども自身も無意識に揺り戻しを起こしているので、責められると余計に不安に。

「大丈夫だよ」と安心させる
→ 例えば、「大丈夫だよ」と声をかけたり抱っこを求められたら抱っこをする。

新しくできたことを褒める
→ 「ズボンを自分で履けたね!」など、小さな成長を見つけて声をかけてあげると自信につながる。


揺り戻しは成長の準備期間!

揺り戻しが起こるのは、「次のステップに進むための助走期間」です。

むしろ、「成長のサイン」 だと思って、焦らず見守ることが大切です✨

「最近ちょっと甘えが強くなったな」と感じたら、「もうすぐ大きく成長するんだな!」とポジティブに受け止めてみてくださいね^^

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